私たちについて

多様な価値観や文化は社会を豊かにする。TABUWATA(たぶわた)は多様性に含まれた「違い」を大切にし、それを誰もがワクワクするような希望や可能性につなげることに夢中です。この実感と信念を基軸に、行政や企業、NPOや地域等と日本社会の多様化をめぐる課題に向き合い、日本人と外国人が共に主体的な構成員として、さまざまな取組を行っています。

| スピリット | 代表あいさつ | 団体概要 | 設立背景 | 

大切にしていること~TABUWATスピリット~

多文化共生をテーマに何かに取り組むことは、どこか特別で難しいことのように受け取られることが少なくありません。しかし、私たちが「TABUWATスピリット」と呼んでいる以下3つのことは、多様化する日本社会においても暮らしやすい環境を整えるうえで大切なことだと考えています。

1、 安心して「違い」を出せる環境をつくる。
 異なる価値観や意見を安心して表現できることは、多様化する社会にとってとても重要です。多数を占める価値観や意見とは異なっていることにこそ、これからの時代を生き抜く新たな価値や仕組みが創造できると思うからです。

2、 出された「違い」に対して折り合いをつける。
 残念ながら「違い」は時として誰しもが心地よいものだとは限りません。誰かにとって心地よくても、他の誰かにとって心地よくないこともしばしばです。人にはどうしても譲れない、譲りたくないこともあります。それはに日本人同士であっても、日本人と外国人であっても同じです。”心地よくない”「違い」と出会えた時こそ、多文化共生を進展させる絶好の機会と捉え、そうした場面で、折り合いをつけることが大切だと考えています。

3、 これらの実現のため、役割による“力の勾配”を生じさせない配慮と工夫をする。
 日本人は往々にして「違い」に対して折り合いをつけることを苦手としているように思います。しかし、ますます多様化する社会において、どのように折り合いをつけるのか、その技能は、これからの教養的スキルといっても良いでしょう。
 その具体的な方法の一つが、役割による力の勾配関係をつくらない、ということです。教えるー教えられる、助けるー助けられるといった役割分担は、知らず知らずのうちに「違い」を出しにくくし、折り合いをつける機会を奪うからです。対等な関係のなかでこそ、相互に「違い」と向き合うための対話を生み出せるのではないでしょうか。

 そうは言っても、こうした「違い」によって摩擦が生じる現場やそれを乗り越えた経験がある人たちは、まだまだ少ないのが現状です。そこで、自分自身に次の2つの質問をしてみてください。きっと見落としている何かや足りない何かに気がつくはずです。

  そのやり方は名前を呼び合える関係づくりにつながりますか?
  日本人もしくは自分の感覚だけで判断していませんか?

このようにして、今では、このTABUWATスピリットの普及もまた、私たちの大切な取組の一つとなっています。

初めてTABUWAの活動に参加する方々には、このスピリットを踏まえたうえで、どうやってそれを実現させるのか、その方法を自由に考えてもらっています。メンバーの誰かが提案し、それを他のメンバーがサポートしながら実現する。こうして常にたくさんのアイデアが出され、どんなに多文化共生に関する取り組みに不慣れな方であっても、主体的に活躍することができます。

何よりもまず、活動に関わる私たちが、年齢や国籍に関係なく対等な関係を築き、それぞれができること、得意なことを活かして、同じ目標に向かって折り合いをつけながら実践し、成功体験に変えていくことを重視しています。

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代表あいさつ

多文化共生という言葉が広がり、多くの人にその言葉が認知されるようになりました。ただ、この言葉が示す世界を想像し、理解するのは簡単なことではないと感じています。

しかし、その状況はすでに私たちの隣にあり、それを受け入れ、理解し、暮らしていかなければなりません。多文化共生の活動をしている私たちにもわからないことだらけ。だからこそ、多様な人々と繋がり、私たちもその言葉が示す世界を知りたいと思っています。

他者を理解し、お互いが気持ちよく暮らしていく。こんなまちづくりを、人に伝え、人と人をつなげ、実践していく。それがわたしたちの活動です。

共同代表 栗又 由利子
(株式会社きぼう国際外語学院・教務主任

多様性は、困難と機会の両方をもたらすものだからこそ、一人の人間としてだけでなく、社会全体としての成長をもたらすことができる可能性をもつのだと思います。多様性がもつ可能性を信じ、活かしていける社会の構築。それは、多文化共生に関心がない人々や外国人嫌悪をもつ人々を含んだ、社会全体で成し遂げなければなりません。

 その実現には、政策だけでなく、私たち一人一人が身近なところから、日々の積極的なふれあいや対話の場を増やしていくこと、そしてちょっとしたトラブルをも大切にしていくことが重要です。偏見は誰にでもあります。しかし、それが「無自覚な」差別や排除につながらないよう、私たちは、私たち自身の在り様を見直していくことが大切です。

 TABUWATAでは、多様性がもつ可能性を信じ、新たな価値の創造を見据え、豊かで暮らしやすい地域づくりを目指します。

共同代表 坂本 文子
(福岡工業大学教養力育成センター・助教)

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団体概要

名称TABUWATA
事務局所在地〒329-2142栃木県矢板市木幡866-3
TEL0287-43-6008
※自動応答になっていますので、メッセージを残してください。事務局からかけなおします。
FAX0287-43-6008
E-mailtabuwata.tochigi@gmail.com
URLhttps://tabuwata.org
代表共同代表 栗又由利子
共同代表 坂本文子
設立2021年3月

 TABUWATAは、2021年3月に設立された主に栃木県内を中心に活動する多文化系まちづくり団体です。現在、会員数85名(2025.3.31、内役員9名)から成る任意団体です。役員数は、会長2名、副会長2名、幹事2名、会計1名、監事2名の合計9名に加え、顧問として団体運営の経験が厚い2名に入っていただいています。役員や顧問には、計5名の海外ルーツの方も含まれています。

 TABUWATA(たぶわた)という名称は、「多文化共生(たぶんかきょうせい)に興味あるんです、私(わたし)」の略です。多文化共生を自分ごととして考えて欲しいという想いが込められています。

 私たちは、TABUWATAスピリットを大切にしながら、日本人と外国人のつなぎ役となることを使命としています。「つなぐ・伝える・実践する」をキーワードに、日本人と外国人だけでなく多様な背景をもつ人々が対等な関係を築き、共に考え、共に活動できる地域社会の実現を目指します。

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設立背景

 TABUWATA(たぶわた)の設立は2021年ですが、その前身となる活動は2012年にさかのぼります。2012~2018年度の〈文化庁委託事業期間〉、2019年~2020年度の〈自主活動期間〉を経て、2021年3月11日にTABUWATAが発足しました。

2012~2018年度〈文化庁委託事業期間〉

 始まりは、現共同代表の栗又が、2012年に「やさしい日本語」を普及することを目的とした文化庁委託事業を受けたことでした。やさしい日本語をどうやって普及させるのか模索するなかで、身近なニュースなどをテーマや教材に使ってもなかなか人が集まりませんでした。そうしたなか、偶然知り合った動物園の園長からアルパカを貸し出してもらえることになりました。アルパカがいるだけで、人を集めることができ、いっきにやさしい日本語の普及にもつながりました。

 日本語教育とは関係がないと思っていた力を借りることで、日本語教育を促進できる可能性を実感できたと同時に、日本語教育から一歩、地域社会に踏み込む重要性を痛感した出来事でした。

 しかし、すぐに日本語教育関係者、自社の関係者だけでは、新たな協力者を得ることに限界も感じました。そこで、当時すでに知り合いだったもう一人の現共同代表である坂本に相談したことで、一緒に活動するようになっていきました。

 

ー日本語教育だけでは「日本語」を教えられないジレンマ

 文化庁委託事業では、FMラジオで 身近なニュースをやさしい日本語で伝える番組「やさしい日本語地域ニュース」を企画・実施しました。しかし、日本語学習者から質問を受けても、専門知識が必要なことも多く、日本語教師である栗又は、日本語学習者が生活者として必要とする情報を教えられていないことに疑問を抱くようになりました。

 そこで、日本語学習者が専門家へ直接質問し、日本語教師がやさしい日本語で通訳する番組を企画・実施ししました。すると、専門家自身が日本語を調節して、やさしい日本語を修得していきました。当時、文化庁委託事業の趣旨は、あくまでも日本語ができない外国人がやさしい日本語を修得するための普及を目指していましたが、日本人が外国人とコミュニケーションを図るために修得すべきなのがやさしい日本語なのではないかという考え方へと変わっていきました。

 また、生活者としての日本語を教えるには、暮らしに関わるさまざまな専門家たちとつながる必要性も高まりました。しかし、そうしたネットワークももっていませんでした。

 

ー生活者として捉えられていない外国人

 当時、自治体シンクタンクに勤務していた坂本は、さまざまな地域の団体とも関わっていましたので、つなぎ役となっていきます。

 生活者としての外国人をつなげるべき機関・組織を検討

• とちぎボランティアNPOセンターや 宇都宮市社会福祉協議会、看護専門学校 などへ

しかし、いざ既存の組織とやさしい日本語の普及をつなげようとすると、当時、最初の反応は「うちは外国人を専門としていません」と言われることもしばしばでした。

社会的変化

• 専門家のやさしい日本語への関心が高まる。

• 学生の関心や意識が高まる。

• 参加した外国人住民の自信や意欲が高まる。

ー外国人住民が抱える問題を地域へ届けるための工夫

 新たな疑問や気づき

• 専門的な話や生活問題がテーマだと、面白さに欠け、外国人住

民に関心のない人たちを引きつけられないのではないか。

• そのためには、日本語教育から一度離れてみてはどうか。

• 青年会議所の方から「楽しくて馴染みやすいテーマの活動が必

要」という意見をもらう。

にほんご・しち・ご

• 日本語学習者の生活の様子や心情を詠った

川柳を、詠った本人から紹介してもらう

番組を企画・実施。

「じてんしゃに のれるとしより ものすごい」

全国FM放送界JFN賞2017「地域賞」受賞

消費型音声情報をどう地域へつなげるかを検討

• 行政や研究活動にいて、報告書を作成することは一般的。活動

を形に残す必要性を提示。

社会的変化

• ラジオを聞かない人たちや普段外国人と

関わりがない人たちへ伝えるツールとなり

連携拡充へつながる。

2019年~2020年度〈自主活動期間〉

ー日本語学習者が主役になれる場所・主役になるべき場所

新たな疑問や気づき

• 「にほんご・しち・ご」で自らが詠んだ川柳を紹介する人たち

が楽しそうにしている様子を目の当たりにし、もっと日本語学

習者が主役になれる場をつくれないか。

あなたの隣の外国人

• コミュニティFMミヤラジへ移行し、

住民としての外国人自身が番組内容を

決め発信できる番組を企画・実施。

コミュニティFMの役割である災害時の情報伝達と外国

人住民の主体的な参加について検討

• ミヤラジ設立の想いとの重なり、文化庁委託事業としては終了

したが番組は継続。

• 外国人住民が支援される/する側として関わるための場を模索

社会的変化

• ミヤラジスタッフの理解の深まる。

• 宇都宮市総合防災訓練での多言語放送が

実現し、地元新聞にも掲載される。

• 災害時緊急対応やフードバンク活動

を行うボランティア団体から連携の申出を受ける。

ー防災を中心にしたら見えてきたこと

TABOWATA:ミヤラジやVネットとの協働

• 日本人住民と外国人住民の双方の防災意識の醸成を目的に、外

国人住民が母語で防災知識を発信する5分番組を企画・協働。

• 3月11日には、一日中いろいろな番組に外国人が出演する特

別番組を企画・協働。

新たな疑問や気づき

• 外国人住民が災害時に身を守るための

日本語の必要性を再確認

• 日本人の「やさしい日本語」

≒日本語調整力の必要性と重要性

東日本台風(台風19号)や新型コロナウイルス感染拡大に

伴う情報発信と支援体制の検討

• 地域の“多文化”防災訓練の事前学習として勉強会を実施することで協

力。地縁組織としての国際交流会の可能性。

• 学生がつくるミヤラジ「がけっぷちラジオ」にゲストとして招かれる。

• 防災マネジメント、福祉社会学など他分野の研究者との連携。

社会的変化

• 自治会役員たちが「やさしい日本語」に

チャレンジする。

• コロナ禍におけるフードバンク活動で、

外国人住民を意識した配慮が自然発生。

やさしい日本語での情報発信へ。

ー残された課題とこれから

• 外国人自身が住民として地域へ参加する意識をどう醸成するのか。

• 散住地域でどう共通認識や取組を浸透させるのか。

• コロナ禍で、誰が情報を“つなぐ”のかという課題に直面。

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